サンプル画面2

【リサ】「……」

期待していた台詞と、あまりにかけはなれたそれに、わたしの肩は、がくっと音を立てて崩れ落ちた。

【リサ】(何故。何故よりにもよってそんな台詞をチョイスするのです……!)
【魔王】「駄目か?」
【リサ】「だっ、ダメに決まってるじゃないですか!」
【魔王】「何故だ」

まさか断られるとは思っていなかったと言わんばかりの、不思議そうな顔で、魔王様はたずねる。

【リサ】「な、なぜって……だって……それは、その……」

こちらも、まさか問い返されるとは思っていなかったため、とっさに返答が出来ず、
しどろもどろになってしまった。

【リサ】(そんな、だって、出会ったばかりで、そういうことは、まだ早いと思いませんか!?
 そもそも、好意のある女性に あの口説き文句はおかしいです!
 愛しているとか、オレの太陽だとか、そこまで言えとは言いませんけど、お前を抱きたい、とか、
 魔王様なら、夜伽を命じる、とか、せめて、他にもっと色々……)\

【リサ】「他の言い方は無かったんですか……」
【魔王】「……他の言い方……」
【リサ】(そうです。あの流れで、わたしが甘い台詞を期待するのは、間違っていないと思います!
 人生初の男性からの告白がアレだなんて、わたしが可哀想すぎます……!)

わたしの指摘を受けて、魔王様はしばらく考えていたようだったが、やがて口を開いた。

【魔王】「お前に突っ込みたい」
【リサ】「よけい悪くなってます!!」
【魔王】「? ? ?」

魔王様は、なぜ怒られているのかわからないといった表情で、わたしを見つめる。

【リサ】「そ、そんな顔をしてもダメですからねっ!」

そんな困ったような悲しいような顔をされたら、まるでわたしが意地悪を言っているようで、
いたたまれない気持ちになる。

【リサ】(魔王様……。口数は少ないけど、常識的な人だと思ってたのに……。
 魔族の人に、人間の、それも平凡な一般村民のわたしの常識を要求するのは、
 勝手な押し付けかもしれないけど……。……はあ……)

すっかり脱力しているわたしに、魔王様はさらにたたみかけてきた。

【魔王】「……やらない、か?」
【リサ】「もういいですって! わかりましたからっ!」

そう怒鳴ってしまってから、ハッとする。

【魔王】「……」
【リサ】(しまった。今のは失礼だったかも……)

おそるおそる魔王様の顔色をうかがってみると、特に気にしたふうでもなく、あっさりと。

【魔王】「そうか」
【リサ】(……なんだ。良かった。はあ……やっと話が通じた……)

そう安堵したのはつかの間で。次の瞬間。

【リサ】「きゃあっ!?」